雑誌記事

理学療法士の臨床推論技能向上を目的とした知識共有基盤の構築に関する研究

Abstract

本プロジェクトでは初学者理学療法士の熟達支援を目的として,特に臨床推論技能を向上させるために熟達者の持つ実践知を外在化して共有する枠組みの構築を目指している.臨床推論とは「データ収集・評価を行い,患者の問題の特定と管理について判断を下す理学療法士が使用する推論プロセス」であり,患者に安全で効果的なリハビリテーションを提供するために不可欠な技能である.本プロジェクトでは,理学療法士の行う活動の支援のあり方として,(A)臨床推論過程において膨大な知識を活用する際の思考の補助と(B)患者の身体状況の観察での見落としを防ぐためのセンサを活用した情報取得の支援,という二つの側面からのアプローチを併用する.前者については,動作分析や統合と解釈など理学療法に関わるテキストを対象とした知識抽出・獲得の取り組みを,後者についてはセンサによって獲得可能な身体行動データを対象とした状態推定の取り組みをそれぞれ行い,これらの異なるモダリティを対象にした情報処理方式をシームレスに扱う情報共有基盤を構築し,それを用いて利用者の支援形態に応じたシステムを提供することで,理学療法士の臨床推論過程の支援を試みる.

Information

Book title

技苑

Pages

147-154

Date of issue

2024/03/31

ISSN

0285-6301

Citation

松下 光範, 吉田 龍洋, 畠山 駿弥, 堀 寛史, 佐々木 恭志郎, 杉本 明文, 山西 良典. 理学療法士の臨床推論技能向上を目的とした知識共有基盤の構築に関する研究, 技苑, No.158, pp.147-154, 2024.